MRの知識力アップ-副作用の個人差に迫る

ここがポイント

男女の違いは副作用においても個人の個性として出やすい人、出にくい人がいるけれど、出るならば先に女性に出る、ということになります。

 

薬の研究でしばしば用いられる実験動物のラットでは、オスとメスで薬物動態に大きな違いがあることは研究者の間では常識になっています。その原因はラットの成長ホルモンにあり、ホルモンによって調節されている体のあらゆる機能にオスとメスで差があり、薬の代謝に関わるシトクロムP450などの酵素の機能も、ホルモンの配下にあるためです。

 

人間においては、薬局で売られている薬が「男性用胃薬」とか「女性用風邪薬」と別れていないことからわかるとおり、男女の違いはさほど大きくありません。ただ厳密に見ると、男性よりも女性で副作用が起きやすい傾向があるといわれています。

 

これは本当なのでしょうか?本当だとすると、その理由は何なのでしょうか?

 

人間での薬の反応における男女差は多くの研究者によってさまざまな方向から検討が加えられています。こうした検討をみてみると、男女に違いはなかったという報告もあるものの、違いがあったという報告の中では女性にのみ、あるいは女性の方が強く副作用が出たと発表している研究者の方が圧倒的に多い点が重要です。

 

薬の体内での挙動には吸収(A)・分布(D)・代謝(M)・排泄(E)の4つのカテゴリがありますが、男女差が現れているのは薬の体内からの消失の速度で、特に「代謝」の過程に男女差があるらしいことがわかっています。

 

CYP2C19と名づけられたシトクロムP450の一種は個人ごとに遺伝子のバリエーションが多い酵素ですが、男女で異なる作用を示す薬の多くはCYP2C19で代謝を受けることが発見されています。膨大な種類がある代謝酵素のうち、こういった一部の酵素に男女差が存在し、その酵素で代謝を受ける薬が副作用という形でその体内動態差を示しているのだと予想されています。

 

また、女性は男性に比較して体重が軽いにもかかわらず、男性と女性の処方量は一般には同じなので、体重あたりに換算すると男性よりも女性の方がたくさんの薬を飲んでいる計算になります。さらに、女性は脂肪が多いので油に溶けやすい薬剤は男性よりも女性の方が体に蓄積しやすい傾向があります。