MRの知識力アップ 風邪予防の常識にせまる

ここがポイント

風邪の予防や治療に関する「常識」は、昔と今とでは大きく違っています。ぜひ皆さんも、「昔から言われてきている慣習」に引きずられることなく、科学的かつ合理的に対処するようにしてください。

 

「風邪を引かないために、外から帰宅したら、まずうがい」、日本では幼稚園児でも行っている習慣です。しかし、風邪予防のためにこんなことをやっているのは、日本人だけだという事をご存知でしたか?

 

うがいは日本独自の衛生習慣。しかも、わりと最近になるまで、風邪に対する予防効果があるかどうかさえ検証されてなかったのです。つまり、風邪の流行る季節になると、大人から子供まで「効果がないかもしれないことを、ずっと続けてきた」ということになります。

 

もっとも、その効果にかねてから疑いの目を向けていた人々もいます。なぜなら、風邪のウイルスは、家の内外を問わずいたるところにウヨウヨと飛び交っているもので、いつ感染するか分かりません。人混みや職場などはもちろん、家で寝ているときに感染することもあるからです。それを帰宅時に限りうがいをしたからといって、果たしてどれだけ役に立っているのかということになります。

 

それに、風邪のウイルスは鼻から気管の入り口にかけての「上気道粘膜」に取り付いて感染します。ウイルスが粘膜についてから細胞に取り込まれるまでの時間は約20分。これを完璧に防ぐのであれば、約20分おきにうがいをしなくてはならないことになりますから、まずもって現実的な手段とは言えません。うがいの効果を疑いたくなる気持ちもお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

また、風邪で熱があるときは、布団にすっぽりくるまってたくさん汗をかく。下着がびっしょりになるくらい汗をかけば、その分早く熱が下がる、そう信じている方も多いのではないでしょうか。実はこれ、大きな間違い。

 

発熱時に温かくして休むのは大切ですが、汗をかくほどに無理に温める必要はありません。むしろ、温めすぎには注意すべきです。熱が高いときには、首や腋の下などを冷やして体の温度を下げるほうがいいのです。

 

そもそも、高熱が出ているときは、汗はほとんど出ないもの。それは、風邪のウイルスを退治するために代謝が上がり、体内の水分が次々に消費されているからです。「だけど、風邪が治りかけてくると、汗がたくさん出るじゃないか」と疑問に思う方も多いことでしょう。

 

治りかけに汗をかく理由は、体内の風邪ウイルスがあらかた退治されて熱が下がり、体が正常の状態へと回復してきたからなのです。つまり、「汗をかいたから、熱が下がった」のではなく、「熱が下がったから、汗をかけるようになった」ということなですね。ですから、汗をかけるくらい体が回復してきたら、過剰に温めることはないのです。

 

治ってきたのにもかかわらず、びっしょり汗をかくような状態を続けていては、着替えなどの際に汗が冷えて、症状をぶりかえしてしまうことにもなりかねません。また、水分補給が十分でないと、汗を大量にかいたために脱水状態になることもあるのでご注意ください。

 

風邪予防には生活習慣や食生活を整えることが大切。万全の注意を払って風邪を引かないようにしましょう。