MRの将来性

【MRの現状】

製薬業界はここ数年で、大きく変わりました。医薬品のプロモーションコードやコンプライアンスが徹底され、宣伝資材の適正化や接待等の規制などにより、数年前と現在のMRの活動内容は大きく変わっています。数年前には当たり前にできた活動が、今やプロモーションコードやコンプライアンスの規制によりできなくなり、現在のMR活動は、従来のMR活動とは一線を画すようになっています。例えば、数年前には頻繁に行われていた接待に関して、今や積極的に接待をしているMRは皆無となりました。また、自社医薬品の宣伝用に使用できる資材や配布資料もより適正化され、使用できるツールは数年前と比べ格段と少なくなりました。MR活動の大幅な見直しにより、各社のMR活動に新たな変化が訪れています。

 

【MR減少時代に突入】

MR数は2013年度の6万4657人(出典:MR認定センター「MR白書」より)をピークに、年々減少している状況です。今後も減少していくと予想されています。では、なぜ、MR数は2013年をピークに減少しているのでしょうか。その理由として、多くの製薬会社では、かつてほど、利益が確保できなくなったからと考えられています。ではなぜ、かつてのように、利益を確保できなくなったのでしょうか。最も大きな理由として言われている1つに、先発品メーカーの新薬不足が挙げられます。そして、新薬不足と共に言われていることが、後発品医薬品の普及です。かつては、新薬上市が順調に進んでいた時代もありました。また、特許が切れた長期収載医薬品でも十分に利益が確保できた時代もありました。しかし、現在は、大きく変わり、新薬開発も難渋し、後発品も急速な勢いで普及しているため、新薬発売や長期収載品でしっかりとした利益を確保することが困難になっています。特に、新薬を中心に扱う先発品メーカーは今までのように利益を上げることができず、四苦八苦しています。かつてのように画期的な新薬が生み出しにくくなってきており、領域によっては、新薬がほとんど出そろった領域もあります。例えば、生活習慣病領域に関しては多くの新薬が発売し、新たな新薬が生み出しにくくなっています。多くの製薬会社では画期的な新薬を生み出すべき、日々研究開発に励んでいますが、なかなか画期的な新薬を生み出すことは難しく、新薬開発ができない企業は、後発品領域に手を広げ、なんとか利益を確保するなどして、新薬ではない別の手段で利益を上げるビジネスモデルを構築しつつある製薬企業も存在します。それに伴い、MR募集も最近では新薬メーカーの募集よりも後発品メーカーの募集の方が多い時期もあります。また、MR数は減少しているといっても、後発品メーカーのMR数は増加しています。さらに、ある特定領域のMR数は増えていると言われています。その増えている領域のMRというのが、オンコロジーMRやCNS領域といった専門領域担当MRです。特に、オンコロジー(抗がん剤)領域は年々新しい新薬が発売しているため、製薬企業としても、オンコロジー経験のあるMRは重宝されつつある状況です。

 

【MRの将来性】

そのような現状を踏まえ、今後、MRはどのように変貌を遂げていくのでしょうか。MRの活動は、今後、AI(人工知能)に置き換わるのではないか、と言われたりもしますが、実際どうなのでしょうか。現在のMR活動がすべてAIに置き換わることは考えにくく、一部置き換わることはあるとしても、実際に医療の現場に訪問し、医師等と直接コンタクトを取ってみなければ、わからないことが沢山あります。現場を訪問し、直接医師とコンタクトを取り、情報収集や情報提供ができる、これこそが、いつも現場に出向いているMRの強みでもあります。医療の現状の多くは、現場に訪問することでわかることもあり、MRにとっては、実際の臨床現場のニーズに沿った、より付加価値の高い情報提供活動が求められています。MRとして、かつてとは異なり、限られたリソースの中で、顧客である医師等にどのような付加価値が提供できるのかが、問われています。また、ここ数年、注目されているのが、特定の領域経験のあるMRです。すなわち、スペシャリティ領域やオンコロジー領域の経験のあるMRです。ある特定の専門領域に特化したMRは、高度な専門性を生かし、現場の医療やニーズに沿ったMR活動ができるのではないかと考えられています。高い専門性を身に付けたMRは、より質の高い情報提供と情報収集をすることで、顧客にとって、さらに役に立つ活動ができるのではないか、と考えられています。医学薬学は日々進歩しています。特に、進歩の著しい癌(オンコロジー)領域は、新しい作用機序の薬剤も多く開発中であり、今話題の免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体等は、今までになかった作用機序で、効果を発揮する薬剤です。体の免疫を賦活化することで、免疫力を高め、効果を発揮する薬剤ですが、いくつか副作用もあり、使い方や副作用マネジメントも熟知しておく必要があり、このような抗がん剤の新薬は常に適正使用が求められています。したがって、今後のMRに求められることは、高い専門性を発揮したMR活動や、医療従事者に対して付加価値の提供ができるMRがますます必要になって来ると予想されています。