2016年度の製薬メーカー採用動向を振り返る

 

ここがポイント

国内の製薬企業を対象に実施した2016年度の新卒採用調査によると、採用数は回答を得た57社の合計で2,852人。前年度と比較可能な企業でみた場合、採用者数は合計で200人減少しました。これを内資先発医薬品、外資先発医薬品、後発医薬品企業に細分化しますと、内資は324人減と大幅に採用数を減らしましたが、逆に外資は25人増、後発品は99人増と増員しました。政府は後発医薬品の使用目標を数量ベースで80%以上に高めるという政府目標を打ち出しており、企業の採用にも影響が出ています。

 

MRは減少、研究開発職は増加

職種別にみると、MR採用は320人減りましたが、逆に研究開発職採用は45人増えました。MRの場合、内資の採用は324人減、外資は3人減となったものの、後発品は7人増と微増しました。一方、研究開発職は内資24人増、外資6人増、後発品15人増と、軒並み採用を増やしました。

 

内資の場合、新卒採用全体の減少数と、MR採用の減少数が324人減で同数でした。つまり、内資が国内の営業職を絞り込んだ結果、業界全体の採用減につながったことが分かります。新卒採用者の女性比率は全体で40%、内資39%、外資51%、後発品31%でした。

 

企業別にみると、最も多く新卒を採用した企業は東和薬品で188人。さらに中外160人、アステラス122人、大塚製薬101人、沢井99人と続きました。逆に、採用者数を最も減らした企業は興和創薬で80人の減少。エーザイの63人減、武田薬品の56人減、旭化成ファーマの47人減と続きました。企業数でみると、内資38社のうち、採用を増やしたのは9社に過ぎず、28社が採用を減らしました。増減なしも1社ありました。外資は7社中、5社が採用を増やしました。採用減は2社でした。

 

一方、後発品企業は6社中、3社が新卒採用を増やしました。減少は2社、増減なしが1社でした。後発品企業の現状をよく表しているのが東和薬品でした。採用188人中、MRは29人、研究開発職も55人にとどまっていました。増員が必要だったのは生産現場です。同社は「設備投資を実施しており、人員確保が必要」と話しました。国の後発品使用促進策が影響したとみてよいでしょう。

 

先発品企業が人員を減らす半面、後発品企業が増員する傾向は、全従業員数の集計からもうかがえます。2016年3月末時点の従業員は13万1,732人。これを内資、外資、後発品企業にみると、内資は407人減、外資も190人減と新薬企業は従業員数を減らしましたが、後発品企業は482人増えていました。

 

業績好調でも先行き不透明感を懸念し、採用減の企業も

先発品企業で象徴的なのがバイエル薬品の採用実績です。同社は2016年4月の採用者数を8人に絞り込んでいます。前年度比で45人減、MRは1人も採用しませんでした。業績自体は極めて好調で、2015年売上高は薬価ベースで2,795億円(12.2%増)、3年連続で2桁成長を達成し、国内売上高ランキングは2012年17位から、2015年は10位にまで急上昇しました。ですが、カーステン・ブルン社長は「市場の予見性が低下しており、慎重に採用した。初めて国内全体のMR数が横ばいか、減少傾向になっていることも影響した」と話します。毎年改定が定着するとの懸念が強まったことに加え、当初は想定していない「特例拡大再算定」も導入されました。国内市場は数年先さえ見通すことができず、一定の利益を確保しなければならない企業経営者が採用に及び腰になっていることを数字が裏付けています。