オンコロジーMRの実態について

 

【オンコロジーMRの実態とは】

・ここ数年、オンコロジーMRという言葉をよく耳にするようになりました。そもそも、オンコロジーMRとはどのようなMRなのでしょうか。オンコロジーMRとは、もちろん、その名前の通り、抗がん剤を扱うMRのことですが、オンコロジー製品といっても、大きくわけると3種類の抗がん剤に分けられます。①化学療法治療薬(通称:ケモ、ケモはケモセラピィーの略)、②分子標的薬(ターゲットのがん細胞を狙い撃ちした抗がん剤)、③最近話題の「免疫チェックポイント阻害」(一般名:ニボルマブ等)等、主に3種類の抗がん剤が存在します。いわゆる抗がん剤と呼ばれている製品は、昔は「ケモ」と呼ばれている化学療法治療薬(一般名:パクリタキセル、シスプラチン等)のみでしたが、最近では分子標的薬の登場により、治療の選択肢が広がり、がん腫によっては分子標的薬が中心になる場合も多く見られるようになりました。とはいっても、がん腫によっては、まだまだ化学療法治療薬がほぼ必須ながん腫もあります。抗がん剤治療は、エビデンス(医学的根拠)を元に、標準治療が確立されており、標準治療の第一選択薬に、「ケモ」が組み込まれていることも多いです。オンコロジーMRといっても、製薬会社によって扱う抗がん剤は異なり、化学療法治療薬のみ扱うメーカー、分子標的薬のみ扱うメーカー、免疫チェックポイント阻害薬のみ扱うメーカー等、様々です。したがって、オンコロジーMRを経験したい場合、自分はどの種類の抗がん剤が扱いたいのか、どの抗がん剤が扱いたいのか、を見極めて転職活動等をするのが良いかもしれません。抗がん剤といっても色々あります。単にオンコロジーMRに転職したい、と考えるよりも、入社後の担当製品をよく吟味した上で、オンコロジーMRを目指すと入社後のモチベーションアップにも繋がるでしょう。

 

【オンコロジーでも領域は2つ】

・オンコロジーと言っても、実は2つの領域があります。それは、「固形がん」と「血液がん」の2つです。一般的な「がん」を指しているのは、多くは「固形がん」のことを指していることが多いです。肺がん、胃がん、乳がん等は、いずれも固形がんに該当します。では、血液がんとは、どのようながんのことでしょうか。血液がんとは、白血病や多発性骨髄腫、悪性リンパ腫のことを意味し、造血組織を作る骨髄にできるがんのことです。すなわち、固形がんと血液がんの違いは、癌ができる場所が違います。一般的に、固形がんとは内蔵等の臓器にできるがんのことで、血液がんは、臓器ではなく、白血球や赤血球等の造血組織を産生する骨髄から発生するがんのことを、血液がんと呼んでいます。したがって、オンコロジーMRといっても、①固形がん領域担当MR、②血液がん領域担当MR、③固形がん+血液がん領域担当MRの3つに分けられます。会社によって、扱っている領域製品群が異なりますので、一概にオンコロジーMRといっても様々です。またアプローチする訪問科も異なり、固形がん製品は外科系、血液がん製品は血液内科にアプローチします。したがって、どの領域のオンコロジー製品を扱いたいのか、よく事前に調査し、訪問診療科も踏まえた、先を見据えたオンコロジーMRへの転職も検討すると、後々役に立つかもしれません。

 

【オンコロジーMRとプライマリーMRの違い】

・オンコロジーMRとプライマリーMRは、どのように異なるのでしょうか。MR職の活動内容に何か違いはあるのでしょうか。結論から言いますと、同じMR職ですが、活動内容が多少、異なります。そもそも、オンコロジー(抗がん剤)製品は、副作用の発現頻度がプライマリー領域の薬剤と比べて比較的高く、発現する副作用の重症度も、他領域の製品と比べ重い傾向があります。そのため、オンコロジー製品は、副作用マネジメントが欠かせません。副作用マネジメントを怠ると、使用してもらってもすぐに離脱や使用中止してしまうケースが続発します。もちろん、プライマリー領域の製品でも扱いが難しい製品や、副作用の発現頻度が高い製品は存在しますが、死亡例や重篤な副作用が発現しやすい製品は決して多くはなく、その点、オンコロジー製品は難しい場合が多いです。そのため、オンコロジーMRにはより一層適正な副作用マネジメントの情報提供や情報収集が求められます。加えて、症例ベースの活動が多いのも、オンオンコロジーMRの特徴です。がん腫にもよりますが、がん患者さんというのは、一例一例フォローが必要であり、絶対的な数も多くはないことから、より細かく専門的な薬剤フォローが必要です。そのため、症例ベースでの活動が多くなり、オンコロジーMRは、プライマリーMRと比べ、より患者さん志向の活動ができるのかもしれません。

 

【オンコロジーMRは、高い倫理観が必要】

・抗がん剤を扱うということは、人の生命に直結するかもしれない製品を扱う可能性がある、ということです。もちろん他の領域の製品でも、人の生命に直結するような薬剤はありますが、抗がん剤に関しては、他領域と比べてもより一層、患者さんの生命維持に近い薬剤です。そのため、抗がん剤は、使用方法や用法用量等を誤ると患者さんに重篤な有害事象等が起きる可能性が高い薬剤です。したがって、オンコロジーMRは、高い倫理観を持ち、正確でスピーディーな対応が医療従事者に求められているのです。最近では、多くの分子標的薬や新規採用機序の免疫チェックポイント阻害薬の登場により、抗がん剤治療がアップデートし、複雑化しています。従来では存在しなかった新しい作用機序の抗がん剤の登場により、抗がん剤治療は日々進歩しています。オンコロジーMRに求められる情報も、より精度が高い情報が求められ、特に、がん領域は進歩が著しいため、高い倫理観を持ちながら、より高度な専門知識や専門スキルが求められています。自社製品を紹介する際も、最新のエビデンスに基づいた正確な情報提供が必須です。オンコロジーの領域では、どの症例でも自社製品を進めるわけにはいきません。オンコロジーMRを正確に理解し、オンコロジーMRが自分に向いていると思えば、オンコロジーMRへの転職を検討してみても、良いかもしれません。